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火照りきった師は弟子に甘く愛し尽くされる

2023.03.12.Sun.21:00
弟子にだけは知られたくない。そんな思いを胸に抱きながら、強大な魔術師は自室で研究に耽っているように見せかけて周期的に訪れる抗えぬ衝動の波を誤魔化す生活を送っていた。
生まれ持った種族に死ぬまで付きまとう、不死の術を己に行使した自分にとっては永遠に付き合う必要のある衝動を弟子に悟られたくないという願いを膨らませながら、魔術師は絶対の師匠として振る舞う日々を保ち続けていた。
そんな忍耐が崩れたのは、回を重ねるごとに濃さと激しさを増幅させた衝動に追い詰められた魔術師が聡明な頭脳を無自覚に蝕まれ、正常であれば常人を遥かに凌駕する記憶能力に誤りが生じた日だった。
今日は、弟子が家にいない。急いでも往復に一日近く掛かる離れた街までの買い物を命じた弟子は、少なくとも今日明日と帰っては来ない。そう考えながら自室の扉を開けた魔術師の目に映ったのは苦笑を浮かべた他ならぬ弟子の姿で。困惑する思考でようやく自身が命じた出発の日が明日であったと気付いた魔術師は、厳格な魔術の師を自称するにはあまりにもふしだらとなった自身の姿に湧き上がらせた羞恥を、八つ当たりとしか言えない勢いで弟子にぶつけ始めた。

「獣人だから! 発情は仕方無いんじゃ!! 欲望を耐えても平常に戻れない以上、発散するしか無いんじゃ!!」

齢数百。とてもそうは思えない幼い少年の見た目をしたあどけない顔を赤く火照らせ理不尽な怒りに歪めながら、魔術師は実年齢からはかけ離れた態度で弟子である人間族の青年に言い訳を叫ぶ。
せめていつものように音を遮断する魔術を施しておけば良かった。不死を得た際に少年のまま時をとめた裸体を小刻みに震わせ男根を華奢な手で隠しつつ遅すぎる後悔をしながら、魔術師は自分よりも大きな弟子を見上げつつ猫族の証である耳と尻尾を興奮と恥ずかしさのままに振り乱す。
しかし、弟子は冷静さを欠片も失っていない。師の部屋から溢れ出る発情の解消を目的とした行為の音とその行為で得た快楽に付随する師の嬌声を耳にしていたはずの弟子は、自分の勘違いを棚に上げて喚き散らすという師匠の威厳を全く感じられない姿を披露する師の裸体を間近で観察させられているはずの青年は、穏やかで優しい笑みを保ち続けている。
あまりにも落ち着いた弟子の様子に己の情けなさを再認識させられ、惨めさを自覚すると共に冷静さを取り戻していく。そんな師の感情が己への嫌悪に切り替わるよりも先に、弟子は少年の容姿をした師に安堵を覚えさせることを狙った言葉を真摯に寄せた。

「はい、存じております。お師匠様がその技でもまだ制御には至れない発情に苦しんでいることは、前々から心を痛めておりました。明日出発の買い出しも本当は発情をゆっくり誤魔化す時間を求めてのことですよね? でしたら、次からは何時でも私に外出を命じて下さい。お師匠様の辛さが和らぐのなら、お師匠様が苦しそうにしている様に、表情を歪めながら発情を押し込めている様に心を痛めずに済むのなら、私にとっても幸せですから」

あぁ、やはりこいつは長い長い人生の中で一番優しく、鈍感な存在だ。
獣人族の発情は種族問わず思いを寄せる相手がいると、苛烈さを増していく性質がある。学びの中で記憶したはずだろうに何故気付かないのか。自分がひた隠しにしていた発情の苦悶は看破していたくせに、どうしてその発情を加速させるような接し方をしてくるのか。
自分一人だと思っていたが故に理性を薄め獣人という種に生来備わった大きく鋭い欲望を剥き出しにした自慰に溺れていた師はもう、刺激された本能を抑えられない。
自分が己の内に膨らませている渇望の解消を、師弟の立場を利用して要求するなんて最低だ。そう理解しつつも我慢のたがを外された師の少年はこうなったのは弟子のせいだと新たな言い訳を胸の内で口にして罪悪感と淫欲の肥大を引き寄せながら、男根を覆っていた手を離し足を開いて恥部を無防備に見せ付けつつ命令という形を取ったおねだりを口にし始めた。

「なら、命じてやる……今すぐワシを満足させて発情を鎮めろ。百年以上発情なんて無かったのに、とうに忘れた感覚だと思っておったのに、立派に育ったお前を恋しく思っていると認めた日から発情の大きさと到来の間隔が悪化する一方なんじゃ……! だから、だからぁ……気持ち良く、してくれ……お前の手で、気持ち良くされたいんじゃ……っ!!」

白状が進むにつれて師の仮面と命令という建前を保ちきれなくなっていく少年に驚きの表情を浮かべながら、驚きつつも拒絶に怯えるかのように白くふわふわな猫の耳と尾を強ばらせる可愛い師に親愛や敬愛とは全く違う愛を己の内に認めながら、弟子の青年は先程自分から申し出た協力の意思からではなく普段の面影が伺えないくらいに蕩けきった師から今以上の痴態をさらけ出させたいという願望のままに手を動かし、隠しきれぬ痴態に跳ねる高まりきった師の弱点を丁寧に愛し尽くしていくのだった。






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