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堕ちた男は天職を淫らに愉しむ

2022.06.15.Wed.21:00
まともな仕事には、どんなに努力しても就くことが出来なかった。ようやく手に入れたと思った仕事場は、窮状を隠した上で自分を含めた大半の社員を使うだけ使い、払うべき物をほとんど払うこと無く夜逃げという選択肢に踏み切ってしまった。
何をしても上手くいかない。上手くいったと思ったら突き落とされた。そんな現実に心を折られた俺は打ちひしがれている自分に声を掛けた男の誘いを自暴自棄の勢いのままに受け入れ、人々や街に不幸をもたらす悪の組織の一員としての生活に身を投じることを決定してしまった。

「もうすぐ最終試験の会場だ。ここでの態度でアンタの採用が決まるからな。頑張れよ?」
「は、はい」

最下層へと向かうエレベーターの中で、未来の上司となる可能性を持った男が俺に先輩の笑みで言葉を掛ける。その言葉に対する俺の反応は、緊張と罪悪感と、己への嫌悪感が入り混じった返事だった。
内容すらも伝えられていない最終試験がこれから始まるという緊張に身体を強ばらせ、何でもない普通の人間にすらなれずに普通から外れた道を進もうとしていることへの罪悪感に心を沈ませ、幼き頃に夢見た正義とは真逆の立場に近付きつつある自身への嫌悪を胸に募らせる俺を乗せたエレベーターは俺の心情に合わせるかの如く深く深くに潜っていき、とうとう最下層へと到着した。
扉の方を向いた先輩の男と、元から扉に正面を向けていた俺の前で扉が開く。そうして開いた扉の向こうに待ち構えていた光景は俺が一切想像をしていなかった物で、俺は部屋に足を踏み入れていく先輩に続いてエレベーターを出つつ、遠慮がちな声音で問いを寄せた。

「あの、この人は……?」
「ん? あぁ、こいつはこの組織にとっ捕まったヒーローだよ」
「ふむっ? むうぅ、んぐぅぅ!」

先輩が口にした俺の問いへの答えを耳にしたヒーローが、うなだれていた顔を持ち上げつつ怒りとも焦りとも付かない声で唸りを放ち出す。ヒーローの証であるはずのスーツを奪われた裸に厳重な縄の拘束を与えられた男は視界を遮る黒革の目隠しごしに俺達の方を見つめ、黒色のテープを使って塞がれた口から意味を成さない叫びを発しつつ、何故かパンパンに張り詰めている男根を振り乱しながらじたばたともがき始める。
その様子を、俺は呆気に取られた状態で眺めていた。そんな俺に、先輩が指示を出す。

「さぁ、最終試験の開始だ。アンタには今から、このヒーローを好きなように弄んでもらう。これはアンタがスパイかそうじゃないかの判別も兼ねた試験だから、絶対に手加減なんてしないように。分かったね?」
「っ……わ、分かりました」
「んむぅぅ!? ぶっ……んみゅぅぅっ!!」

まさか、同じ男の身体を弄ばされることになるなんて。困惑と後悔を抱きながらも、もはや一度悪と触れ合った以上後に戻れない俺は責めを嫌がって必死に暴れているヒーローの身体へと歩み寄っていく。全身を這い回るように施された縄によって左右の足を一つにまとめられ、二の腕と胴体を繋がれた上で左右の手首を背中側で縛り上げられ、上半身の縄と部屋の天井に取り付けられたフックを結ぶ縄のせいでつま先立ちの格好から逃げられなくされているヒーローの逞しい裸体に辿り着いた俺は、まずは張り詰めた男根を危機から遠ざけようとする身悶えをどうにかしようと背後に回って腹部に左腕を巻き付けて行動を制限し、その上で丸出しとなっていた男根を右手でおずおずと包み込んだ。

「自分以外のモノを触るのは初めてか? まぁ、初めてでも無茶しなきゃ大丈夫だ。そいつは朝晩の餌に混ぜた媚薬で感度も抜群になってるし、きっとすぐによがり狂わせられるさ」

ヒーローの男根がすでに興奮状態だった理由を伝えられた俺は、納得をしつつ生まれて初めて触れる自分以外の男根の熱さと感触に妙な愉悦を湧き上がらせていた。
手で握っただけなのに、男根は苦しげに、かつ嬉しそうに脈動を激しくさせている。まだ手で包んだだけだというのに、媚薬で高められた男根に刺激をもたらされたヒーローは先程までの騒がしさが嘘のように大人しくなり、怯えと哀願を混ぜた鼻息をプスプスと間抜けに立てている。
たったこれだけでいっぱいいっぱいになっているヒーローの男根を、このままいたぶってやったらどうなるのだろう。ついさっきまで知らなかった己の黒い欲望に驚きつつ、俺は試験の緊張も悪を選んだ自分への嫌悪も忘れて加速する衝動のままに右手を動かし始めた。

「ふぐっ、んぎゅぅぅ!? ぶっ、むぶっ、ふぶぅぅぅっ!!」

逆らえぬ正義の裸体が、全身をきつく圧迫する縄を軋ませつつ男根を責め立てる俺の右手を振り払おうとめちゃくちゃに悶え狂う。そんなことをしても恥辱を拒めはしないというのに、苛烈な快楽に恐怖するヒーローは俺に腹部を抱き寄せられた姿でくねくねと裸体を踊らせ、無意味な試行錯誤を愉快に晒していく。
その悶絶は、絶頂の瞬間が近付くにつれてじょじょに悲痛さを増していく。イかされたくないと願うヒーローは、無意識に腰を前後に揺らして男根を摩擦する俺の右手を滑稽に手助けしていく。
あと少しで、このヒーローは絶頂する。新規の所属者を確かめる試験という常識ではあり得ない形でいたぶられながら、悪に捕まったヒーローの男は射精に達する。それを認識した途端、俺はほんの少し前に自覚した己の醜悪な本性が求める非道を実行に移し、ヒーローを予想外の苦悶に放り込んだ。
俺は屈辱に塗れながらの射精を覚悟し身構えたヒーローを堪能しつつ不意打ちで右手を男根から離し、イく直前の位置でヒーローからとどめの悦楽を没収したのだ。

「っぎゅ!? む、ぐふうぅ!」

イく手前でお預けを食らわされたヒーローが、言葉にならない絶叫を放ちながら全身をよじらせる。逃げ場を失った淫らな熱を何とかして散らそうと、ヒーローが射精欲が引いていく男根を跳ね回らせつつ、俺に背後から腹部を引き寄せられた汗と縄塗れの裸体を痙攣させる。
そうして寸止めの苦しみに喘ぎ、俺と先輩を愉しませる惨め極まりない痴態を繰り広げたヒーローがわずかに落ち着きを取り戻したのを確認した俺は、完全に把握した自分の異常な嗜好を満たす為に、先走りに汚れた右手で再び男根を握り込みつつ次の寸止めを宣言した。

「休んでる暇なんて無いですよ、ヒーローさん。まだまだ、射精出来ない苦しみを味わってもらいますからね。ヒーローさんが苦しめば苦しむ程俺は愉しい上に試験の合格率が高まりますから、俺が満足するまでたっぷりと……射精無しで気持ち良くなり続けて下さいね?」
「むっ、ぎゅうぅ!? んー! んむぅぅぅーっ!!」

試験の様子を離れた場所で観察していた先輩が向ける驚きと感心と欲情の視線を浴びながら、天職を見付けた俺は幼き日の憧れであった正義のヒーローを淫猥に追い詰める至福を噛み締めつつ、うっかり射精をさせてしまわないよう右手に細心の注意を払い、ヒーローを生殺しの地獄へと導いていくのだった。






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