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雄々しき虎は淫欲に任せてしおらしくおねだりする

2022.05.26.Thu.21:00
何日前から毎晩こうして過ごしているのだろう。掃除と換気を終えても自身の汗臭さがまだ残っている鍛冶場に置かれたテーブルから持ち上げた飲み物を口に含みつつ、虎獣人の男は答えを求めている訳ではない自問を己の内に響かせる。
一日中炎の前で鉄を打って疲れているはずなのに、心と身体がそわそわと疼いて眠る気になれない。本を読んで落ち着こうにも、視界に映っているはずの文字は意味の無い情報として思考の上を滑り落ちていくだけだ。
発情期でもないのに、肉体が火照って仕方が無い。仕事相手である大半の冒険者よりも年上で親父とまで呼ばれる程に長く生きているというのに、じっとしていることさえ叶わない。
それもこれも、あの若造のせいだ。そう考えながら、虎はまた飲み物を口に運ぶ。実際は違う、本当の理由はその若き冒険者のせいではなく、その冒険者に心を奪われた自分のせいだ。認めたくない事実を把握しつつ、虎は左手のコップを勢いよく傾け飲み物を全て飲み干した。
そうして空になったコップを虎がテーブルに置くのと、思い浮かべていた狼獣人の若き冒険者が閉店の札を出していたはずの扉をくぐり鍛冶場に足を踏み入れたのはほぼ同時で、魔法製のランプに淡く照らされた狼の姿を目にした虎は一週間以上顔を見せていなかった狼が放つ帰りの挨拶よりも早く己の内側に湧き上がった欲望のままに椅子から立ち上がって衣服をはだけ、狼と最初に行為に及んだ時と同じように、重い発情期に襲われ理性が飛ぶ程の苦しみの中で悦楽をねだった時と同じように、はしたなく収縮する尻穴を突き出しながらのおねだりを正気を保った状態で紡いだ。

「俺のここ……鎮めてくれ。お前がいない間、毎晩ずーっと寂しがってた俺のケツ穴……お前のチ○コでめちゃくちゃに掻き回してくれ……頼むぅ……っ!」

雄々しく豪快で、冒険者のみならず街の住人達から信頼と好意を寄せられている虎の男が、他の者には決して見せないしおらしい痴態を迷い無くさらけ出している。
発情の苦悶を和らげる為に肌を重ね、そこから何時しか恋人のように身体を甘く貪り合う関係へと発展した虎の男が、衣服を脱ぎ去った下半身を露出させテーブルに上半身を預けた体勢で縞柄の尾を大きく上げて薄暗さの中でもはっきりと分かるくらいに準備万端となった尻穴への淫らな征服を望んでいる。
それは、若く情熱的な狼の欲望を頂点に至らせるには十分過ぎる誘惑で、予想外の本能を剥き出しにした懇願を見た狼は無意識に生唾を飲み込みつつ虎が上半身を乗せている物とは違う背の低いテーブルに装備品と今回の冒険の大事な収穫物を丁寧に乗せると、張り詰め切った自身の男根を取り出しながら虎に歩み寄り、欲しがりな穴を希望に従って一息に貫き荒々しくも優しい腰つきでほじくり回し始めてやった。

「あぁっ、来たぁっ! お前のチ○コ、やっぱり太いぃ……俺もう、これが無いと駄目だ。お前がいないとぉっ」
「俺もですよ、おやっさん。俺も、おやっさんがいないと駄目です。幸せそうに喘ぎながら気持ち良くなってくれて、俺だけに何もかもをさらけ出してくれる可愛い人がいない生活なんて、もう考えられないですよ……っ!」

愛しい狼に、痴態を褒められている。年下の狼に、淫猥な自分を肯定されている。
そんな幸福な情報に全身を甘く痺れさせながら虎は尻穴をきつく締め上げて言葉よりも分かりやすく愉悦を狼に伝え、狼はその熱烈な絞め上げを感じながら最愛の虎の尻穴を掻き毟り、獣に堕ちた二人はお互いを必要な存在だと再確認しつつ交尾の熱を際限無く何処までも高めていく。
その幸福色に染まった淫蕩な時間に耽り、言葉よりも先に肉体で愛を交わし合う二人の鳴き声を狼の手から離れた荷物の中で聞く鉱石は、自身を自力で手に入れる為に人生最大の冒険に赴いた狼を労い己を用いた婚姻の儀式を執り行う未来がすでに確定している二人を祝福するかのように淡い黄色に輝いていた。






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