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最愛の狼は練り歩かされる

2021.08.13.Fri.21:00
漆黒の魔力によって形作られた中身の無い空っぽの鎧達が、自身と同じ漆黒で形成された棒を掴んだ状態で淡々と街中を歩き続けている。恐怖と戦慄、嘲りに侮蔑。ありとあらゆる感情を抱いて視線を寄せる住人達の視線を浴びながら術者の命に従って同じ速度での歩行を繰り返す鎧達は、自らが手にした棒に繋がれている白銀の狼獣人が放つ唸りを無視しつつ、何処にも逃れられぬ無様な狼を見世物として連行している。
その辱めから狼を救い出す者は誰一人としていない。狼に対する仕打ちに恐れを抱きつつも、狼への憐憫を募らせる住人は街の何処にも存在しない。あの狼は、若き王の寝首を掻こうとして捕らわれた。故に、あれは当然どころかむしろ有情な状況だ。そんな認識を共有している住人達は、余計な罵倒さえもぶつけずに練り歩かされる狼の光景を日常として受け入れ、全く意に介さないという反応を示すことで狼をより辛く苦しい辱めへと、王の意向に沿って追い詰めていた。

「んぐぅ……むぅ、んむぁぁっ」

鎧達が運ぶ棒から伸びた魔力の縄で左右の手首を縛り上げられた腕を幾らもがかせても、狼は自由を取り戻せない。
漆黒の魔力によって視界を塞がれた目を歪ませ、猿轡の要領で魔力の棒を噛まされた口から唾液と共にくぐもった唸りを発しながら雄々しき傷跡をあちらこちらに携えた逞しい筋肉に覆われたほぼ全裸に近い肉体をくねくねとよじらせても、狼は自身を支配する人間の王の魔術によって引き起こされた発情に火照らされている男根に押し上げられた薄汚い腰布をみっともなくはためかせることしか出来ない。

「うぁ、おぉぅっ! あぉ……んまおぉ」

助けを求めて鳴き声を上げても、応える者はいない。休み無き歩行に憔悴させられた足を激しく痙攣させ、白銀の尾を苦しげに跳ね回らせながら救いを欲しても、街は狼をいない者とした活気を維持するのみで慈悲は一向にもたらされない。
平常な街の中で、自分だけが痴態を晒している。何でもない日々を送る者達の中で、自分だけが行動を制限され発情を掻き立てられている。
その事実を嫌でも認識させられながら歩かされる。気高き狼としての矜持を根底から打ち砕かれながら、抗えずに歩行を強いられる。その地獄は街の活気が消え去り魔力の漆黒が紛れる程の闇に辺りが覆われるまで継続され、狼はようやく自身を飼い慣らす若き人間の王がいる宮殿への帰還を許された。
王の表情が意地の悪さと愛しさに満ちた物となっていることに気付く住人も、王の愉悦に満ちた言葉を耳にする住人もいない。そんな夜深くに、狼は愛しい王の下への帰還を認められたのだ。

「○○、今日もたっぷり辱めてもらえたね。私の魔術に拘束されて、発情を促されながら皆に観察されて嬉しがる○○、とっても素敵で可愛かったよ。こんな良い子には、たっぷりとご褒美をあげよう。今夜も私の手でじっくりと苛めて、いやらしくよがり狂わせてあげるからね……」
「んふっ、むっ……んむぅぅんっ!」

宮殿の窓から自分を見下ろす愛しき王の囁きを自身の種族が有する鋭敏な聴力で認識し至福を露わにした鳴き声で返事を行う淫猥な狼を目と耳で味わいながら、若き王は自分を殺めようとした者への罰という嘘の理由を用いて街中の者に最愛の狼の淫猥な姿を見せびらかす愉悦に改めて酔いつつ、気高く己以外の誰にも屈しないという狼獣人全体の性質に逆らってまで自分への隷属を悦んで誓った狼への恋情と欲情を再び増幅させ、まだ遠くに見えている狼が自室へと連行されてくる時の到来を早くも今か今かと待ち侘び始めていた。






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