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出会った欲望達はお互いを潤し合う

2021.06.14.Mon.21:00
新しく引っ越してきた建物は、駅とスーパーが近く景色も良いという文句の無い物件だった。
しかし、青年は一つ大きな不満を抱えていた。それは、隣の部屋からほぼ毎晩のように聞こえてくる物音に対する不満だ。
騒音という程ではない。だが、自身の部屋に向かって壁に何かを緩くぶつけるような音が数十分も聞こえてくる状況は気になって仕方が無い。
けれど、青年は気にしつつもそれを指摘すること無く日々を過ごしていた。音も気になるが、それ以上にトラブルに発展する可能性が気になる。そう考えながら、青年は隣からの音を意識しないよう努めて過ごしていた。
そんな状態に変化が訪れたのは、青年がバイト先で理不尽な言いがかりを付けられ首を言い渡された日だった。
自分以上に事なかれ主義な店長と本部にクレーマー由来の全ての責任を被せられ、有無を言わさずに辞めさせられた事実に対する苛立ちを抱えていた青年はいつも以上に隣からの音が大きく、不快に感じられた。
何をしようにも気になる。別のことをして気を紛らわせることもままならない。そうして膨れ上がった苛々のままに、青年は音がしている箇所に歩み寄り怒気を込めた叫びを隣にぶつけつつ壁を思い切り叩いてしまった。

「毎晩毎晩ドスドスうるっせーんだよ!!」

これで音がやむだろう。根拠の無い確信に任せて青年は壁を右の拳で叩いた。
だが、それに対して返ってきた隣からの反応は、青年にとって完全に予想外の物だった。

「んひっ!? ひゃぁっ!? あっ、あぅぁぁぁぁっ!?」
「……えっ?」

返ってきた悲鳴に、青年は一瞬放心した後に冷静さを取り戻し続いて狼狽する。
もしかしてとんでもない被害を出してしまったのではないかと焦燥を募らせながら、青年は靴を履くことも忘れインターホンの存在すらも失念したまま、隣の部屋の扉を開いた。
そして、青年はまた予想外に遭遇した。それは、全裸で小刻みに痙攣している隣人の男の姿。自分の部屋に続く壁に男根を模した玩具を貼り付け、その前で背もたれの無い箱型の椅子に乗せた手と床に付いた足を震わせつつ裸体を支えている、引っ越しの際の挨拶で会った時からは想像も付かないくらいの艶めいた雰囲気を醸し出している男の姿だった。

「ごっ、ごめっ、ごめんなさい。君が、越してきてたこと、忘れてっ、俺……ずっと、隣、空き部屋だったから、習慣になっててぇ……ごめん、ごめんな、さい……っ!」

裸体を見られたことでも、許可無く部屋に踏み込んできた青年への抗議でもなく、荒く乱れた呼吸混じりに謝罪を紡ぐことを優先する男。尻穴を用いた淫らな行為の最中に偽の男根を貼り付けていた壁を叩かれ、意図していなかった衝撃で覚悟の余地も無いまま絶頂に至らされた男。そんな男の震えた声による謝罪を耳にしながら、青年は生まれて初めて感じる興奮に全身をゾクゾクと痺れさせていく。年上のこの男の可愛い姿を、もっともっと眺めたい。湧き上がった欲望に突き動かされながら、青年は男の元へと接近する。
それに対して怯えた様子を見せながらも逃れることの叶わない男は、意地悪く微笑む青年の表情に思わずさっきまで淫具をくわえ込んでいた尻穴をヒクつかせ、射精に達したばかりの男根を再び滾らせていく。
自分ですら知らなかった、加虐の欲望。自覚していたが相手がいなかった、被虐の欲望。出会った二つの欲は事前に示し合わせた訳でも無いのにお互いが望む行動を取り始め、渇望を潤し合い出した。

「悪いと思ってるなら、自分でしてるところをもっと見せてよ、おっさん。俺の部屋側の壁にケツ打ち付けながら、尻穴でイくところ……俺に許してもらえるまで見せろよ、淫乱」

言いながら、青年の手が椅子の上で震えていた男の左右の手首を掴み、無理矢理に持ち上げさせた。自分よりも逞しい肉体を持つ青年に手首を掴まれていたら、何処にも逃げられない。ジーンズの内側で勃起した青年の男根が眼前にある状態からも抜け出せない。
もう自分は、悪いことをした自分は、青年が満足するまで尻穴で自慰に耽る痴態を堪能されるしか無い。淫猥な自己暗示を行い興奮を増幅させながら、男は命令に従って腰を動かし壁に取り付けた淫具を再び尻穴でずぷりと飲み込んだ。自分の主として君臨した青年の男根が放つ若い雄の淫臭を、ジーンズに押し付けた鼻で一生懸命に吸い込みながらだ。

「はい、分かりましたっ……んぅ、ふあぁ……いっぱい、イきますっ。許して、頂けるまでぇ……んふっ、はぁぁんっ……お尻で、たくさん……射精しますぅっ……!」

床に触れている足と、掴まれた左右の手首、そして尻穴をほじくる淫具を支えにして裸体を心地良さげに踊らせつつ男根の匂いを夢中で嗅ぐ年上の淫らな男をあらゆる感覚で味わいながら、青年は早くも絶対的な支配者としての風格を漂わせ始め、支配されることを悦びと受け取る男を際限無く発情させ、最後に屈服が待ち受ける絶頂に次ぐ絶頂へと追い詰めていくのだった。






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