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青年は震える腕で無意味に裸体を支える

2021.04.05.Mon.21:00
日々の鍛錬によって、青年は普通の者よりも遥かに柔らかな肉体を育て上げることに成功した。
並の者では、踊るように身を跳ねさせる青年に触れることすらもままならない。並の者では全身を潜り込ませることすらも困難な細い通気口も、青年の肉体ならば海中を泳ぐ魚のようにするすると前に進める。そんな肉体を用いて、青年はスパイとしての仕事を幾つもこなし多大な利益を得ていた。そんな肉体を駆使して、青年は自分によって損害を出された者達の恨みを込めた攻撃をかわし、復讐への意欲を跡形も無く削ぐ程の冷徹な返り討ちを加えていた。
そして青年は今、自慢であった己のしなやかな肉体を利用した責め苦に辱められている。幾度となく自分を救った肉体への後悔を初めて抱き、淡々と仕事をこなすスパイとしての仮面を剥ぎ取られる程の地獄に苛まれ続けた青年は、惨めに悶え鳴く自分を取り囲み笑って鑑賞している男達に向かってなりふり構わぬ哀願を飛ばし、苦痛からの解放を本心からねだっていた。

「もぉ、もぅ、やめでぇっ……た、たひゅけへ、足、はずしへっ! おひり、ぬいへぇぇっ……!!」

大粒の涙を零し、スパイとして振る舞っている時に無表情を保ち続けていた顔を真っ赤に火照らせ苦しげに歪ませながら、青年は舌足らずに許しを請う。誇りを捨て、尊厳を忘れ、駆け引きなど一切含まれていないことがはっきりと理解出来る切羽詰まった態度で青年は救いを欲している。
しかし、惨めに懇願を繰り返す青年を嬉しそうに見下ろす男達は、必死に紡がれる声を堪能しながら笑みの黒さを濃くするのみで助けの手など差し伸べはしない。あの機械のようなスパイが、眉一つ動かさずに仕事をこなしていたスパイが、苦悶の感情を露わにして無様に鳴き叫んでいる。その事実に興奮と愉悦を募らせている青年を憎む男達は、左右の足首に巻き付けた黒革の枷と地下室の壁に取り付けられた金具を結ぶ鎖を決して外そうとはしない。限界まで開脚を強要された裸体をガクガクと震えながら必死で支えている左右の手を手首同士を繋ぐ黒革の枷で縛められた腕の自由を返してやろうともしない。ようやく捕らえたスパイのみっともない悶絶姿を鑑賞する男達は、絶え間無い首振りを行って腸壁に甘い殴り付けを注いでくる床と一体化した極太のアナルバイブに尻穴を下から貫かれた青年スパイが更なる淫獄を嫌がって無意味に汗と淫液塗れの裸体を持ち上げている光景を、醜悪に歪んだ満面の笑みで愉しみ続けるだけだ。

「あぁっ、んあぁぁっ! もっ、無理、むりぃぃ! ゆりゅじで、もぉ、力はいんにゃいぃぃ……おちちゃう! おひり、奥までおかされちゃうぅぅっ!!」

もし腕の力が抜け、床と繋がったバイブに体重が掛かる状況が訪れたら、追い打ちの機構が作動してお前の心と身体は淫らに壊されるだろう。嬉々として告げられた男達の言葉を疲弊した思考に蘇らせながら青年は怯えと恐怖を糧にして腕を突っ張らせて裸体を上に運ぶ。その一生懸命な足掻きを眺めて笑みをまた引き上げ、崩壊を決定付ける淫らな地獄を先延ばしにするだけの無駄な抗いを堪能し改めて青年スパイを捕獲した事実を噛み締めながら、男達はじょじょに腕に力を込められなくなっていく青年スパイの様子を、バイブに大きく体重を掛けることで始まるより激しい首振りとバイブの先端に空いた小さな穴から強烈な媚薬が染み出す状態という最高の見世物に至るまでの過程を、何も言わず手も出さずにじっと目と耳で味わい続けていた。






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