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青年は檻の中で現実に打ちひしがれる

2020.05.12.Tue.21:00
「お、お願い……許して。助けて、助けてぇ……っ!」

涙を流しながら、声を怯えに震わせながら、青年が床に転がされた裸体をじたばたともがかせつつ自分を入れるための檻を準備している男達に向かって悲痛な哀願を繰り返す。
だが、男達は青年の哀願を聞き入れない。それどころか、青年の方に視線を向けることすらしない。
何故なら、男達にとって青年は数ある商品の一つに過ぎず、商品達が発する雑音にいちいち耳を傾けていたら仕事が進まないからだ。
生きた人間を商品として扱う非道な組織の男達は、青年が心から放つ救いを欲する言葉をいつものことと聞き流しながら、淡々と準備を進めていく。
狭い檻の天井と床に存在する複数の金具を点検し終え、そこに縄を結わえた男達は青年の表情が恐怖と絶望に歪むのを無表情で見つめながら両手両足を縛って抵抗を封じた青年の裸体を担ぎ上げ、あらかじめ用意しておいた檻の中の縄と青年の裸体に這わせた縄を結合して青年を宙吊りにし始めた。

「ひ……! い、嫌だ、お願い、やめて……やめてぇぇ……!!」

先程よりも痛々しく青年が許しを請うても、男達は一切の反応を示さない。男達は青年の二の腕を胴体に括り手首を背中で縛る上半身の縄と檻の天井の金具から垂らした縄を遊び無く繋ぎ、青年の左右の太ももとすねを括る縄と檻の床の金具から伸ばした縄をきつく結び、青年の足首を括る縄を上半身を繋いだ物とは違う天井の金具へと繋いだ。事務的に青年の身悶えを抑えながらだ。

「うっ、く、ふうぅ……」

檻の中に裸体を吊るされた青年はもがくのを諦め、打ちひしがれる心のままに嗚咽を漏らし出す。普通の人間であれば、その嗚咽に胸を少なからず絞め付けられるだろう。しかし、男達は普通ではない。捕らえた人々を売り飛ばす男達は嗚咽する青年の前でポケットから取り出した指示書を確認し、そこに書かれていた内容通りに哀れな宙吊りの青年へと追い打ちの拘束を加えた。

「んぅっ!? むっ、ぐふぅぅ!」

泣き声を漏らしていた口に、男の指が固く丸めた布を押し込む。驚いた青年がその布を吐き出そうと試みるよりも先に別の男が檻の格子から左右の手と布を潜り込ませ、青年の歯を割る形で布を噛ませて口内の布を吐き出せないようにさせる。
そうして青年から言葉すらも取り上げた男達は、最後の仕上げとして青年の顔に鼻と口を覆う白布の猿轡を与えた。
それもただの猿轡ではない。強力な媚薬をたっぷりと染み込ませた、呼吸の度に発情を強制する無慈悲極まりない猿轡だ。

「ふぅぅっ!? んー! んぐぅーっ!!」

残酷な組織に捕らわれた日から調教の際に幾度となく嗅がされた媚薬の香りに気付き、青年が発情を恐れて顔を振り乱し猿轡を拒絶する。もちろん、そんなことをしても意味は無い。男達は無駄な足掻きを見せる青年の頭部を手で抑え、嫌がる青年に媚薬猿轡を難なく取り付け、顔を振っても外れないようしっかりと後頭部で結び目を作り顔に固定してしまった。

「ふ、ぐ……っ、む……!」

発情以外の選択肢を潰された青年は、目を大きく見開きながら呼吸を一生懸命に我慢している。我慢したところで呼吸をやめられない以上結局は気が狂う程の発情に襲われ、檻の中に吊るされた裸体を無様によじらせることになるというのに、青年は諦め悪く呼吸を抑えに抑えている。
その様子を檻の外から見つめる男達は、青年に関する全ての準備が終わった事実を共有して頷くと慈悲を欲しがる青年の視線に気付くことすら無く檻の扉を閉めて南京錠を掛け、次の商品の準備へと取り掛かり始める。

「んーっ! ぐぅぅ! ふぎゅぅぅぅぅーっ!!」
「ふ、も……お、ご……!」

自分から離れた男達に迫られた別の青年が放つ絶叫を耳にしながら、少し離れた場所で進められる残酷な準備を潤んだ目で見つめながら青年は吸入させられた媚薬の効果で男根を膨らませ、自らが淫らな商品に堕とされた現実に改めて打ちひしがれていた。






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