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疲弊した二人は自ら媚薬を摂取する

2019.05.17.Fri.21:00
「はっ、はぁっ! あぅ、うぁっ! んぁっ、はぁぁぁっ!!」
「ひ、はっ……ひぅ、あぁ、はぁ、あぁ! あぅぅぅぅっ!!」

乱れた呼吸に時折甘く歪んだ悲鳴を混ぜながら、二人の男が走り続けている。もう走りたくない、そう心の底から思っているのに男達は足をとめられない。地下室の天井から鎖で吊るされた黒革の枷を頭上に持ち上げさせられた手首に嵌められ、床と一体化している巨大なルームランナーの上から下りられないようにされた二人は移動する足場に合わせて足を動かし続けるしか無い。
幾ら足に疲労が溜まっても休むことは許されず、衣服を剥ぎ取られた裸体から噴き出した汗を拭うことも叶わない責め苦。だが、走り続ける状態を強いるその責め苦はただのおまけでしか無い。本当に二人を苦しめ辱めているのは、恥部に取り付けられた淫らな機械の方だ。
二人の男根の根元と亀頭近くに巻き付けられた細いベルトは断続的な振動を繰り返して二本の男根に甘い快楽を加えている。その快楽から逃れたくても拘束された二人の手はベルトに近付くことすら出来ない。振動をとめたくても、二人はベルトの振動をとめられない。ベルトの振動を生む条件である「ベルトに振動を加えること」を、強制的に走らされている二人は断ち切れないからだ。

「あぁ、んあぁぁぁっ! も、ゆりゅ、ひへ……だじゅ、げでぇっ……くる、ひ、ぐる、じぃ……!」
「イぐの、やら……! はひるの、やりゃぁぁぁ!! やしゅ、まへて、おねがい、おにぇがいぃぃ……!」

走り続けさせられている自分達を笑って眺めている男達に涙と唾液と汗で汚れきった赤ら顔を向けながら、二人は絶頂を迎えつつ地獄の終わりを求めて息も絶え絶えに哀願の言葉を紡いでいる。その哀願は駆け引きなど一切存在しない本心からの物で、二人は自分達を苦しめる男達への怒りを忘れて救いを望むほどに心と身体を追い詰められていた。
嘘偽りの無い、誇りを捨てた許しを請う言葉。それを聞いた男達は目を見合わせると、壁に設置された操作盤をおもむろに弄り出す。
すると、部屋全体に満ちていたルームランナーの駆動音が少しずつ少しずつ小さくなっていき、やがてルームランナーは動きをとめた。それは二人の強制走行の地獄と、男根を嬲る快楽の苦悶の終わりを示す変化だ。

「はっ、はふっ、ひ、はぁ、あはぁぁ……」
「あぅ……っ、はぁ、んぅ、く、はぁ、んあぁ……」

手首に負担がかかることなど考慮出来ない状況である二人の裸体が、枷と枷を吊るす鎖にぶら下がる形で脱力し汗を撒き散らしながら小刻みに痙攣する。その裸体の痙攣に反応して生まれるベルトの振動に新たな快楽を注がれながらも二人の男根は徐々に萎えていき、ようやく勃起してない平常の状態へと戻っていく。
やっと与えられた慈悲に安堵し、休息を喜ぶ男達。そんな二人の眼前に器が差し出された、透明な液体で満たされた半球状の透明な器だ。

「さ、頑張ったご褒美だよ。たっぷり飲みなさい」
「遠慮しなくても良いからね」

飲めと告げる男達の声を聞いた二人は、何の躊躇いも無く液体を飲み始めた。屈辱や悔しさの感情を欠片も抱かず、喉を潤せる幸福を感じながら二人は犬のように舌を伸ばして器の中の液体を口へと運ぶ。

「んっ、んぐっ、んはぁ、あふっ」
「っあ、はぁぁ……んっ、んぷあぁっ」

一心不乱に液体を摂取する二人。夢中で水を飲む無様な二人を醜悪な笑みで観察している男達は、無慈悲な仕掛けの発動を心待ちにして笑みの醜さを際限なく強めている。
それに気付かぬまま液体を飲み続けていた二人は、訪れた肉体の変化をほぼ同時に自覚すると、器から口を離して困惑色の悲鳴を上げ出した。

「あ、あぁっ……!? うぁ、あぅぅぅっ……!?」
「んく、く、ひぃぃっ!? あ、あぁ、んあぁぁぁっ……!」

嫌というくらいに疲労と共に快楽で嬲られたはずの二人の肉体が、淫らに火照っていく。萎えたことを嬉しがっていた男根が再び膨らみ、ベルトの締め付けを受けながらビクビクと脈を打つ。肌は流れる汗にすら甘さを感じてしまう程に、感度が高まっていく。
その変化の様子を愉しんでいた男達は、困惑する二人に笑いながら言った。残酷な事実を愉快さを隠しもしない口調で、言い放った。

「媚薬入りのお水、美味しかったねぇ。効きの速さも効き目自体も強力だから、苦しくて仕方が無いねぇ」
「でも、まだまだ飲み足りないだろう? あんなにたくさん走らされたんだから、もっともっと飲みたいよね?」
「い、いや、嫌だ……」
「ゆ、ゆる、して。もう、やめて……」

これ以上飲まされたら、おかしくなる。すでに理性が蝕まれるような欲望の波が襲いかかっており、二人は気を抜けば男根に施されたベルトの機構を忘れて腰をくねらせてしまいそうになる。
そこに追加の媚薬を飲まされたら、狂ってしまう。本気でそう思い、自分の崩壊を恐れながら二人は媚薬の摂取を拒んだ。
しかし、身動きを封じられた二人に拒否権など無い。男達は悠然とした態度で言葉を発し、二人から媚薬の摂取以外の選択肢を奪い取っていく。

「おや、飲みたくないのかい? もしかして、まだそんなに喉が渇いてないのかな?」
「じゃあ、飲みたくて仕方が無くなるようにまた走らせてあげないとね。あと二時間くらい走れば、お水を飲みたくなるかな?」
「っ……!」
「う、あぁ……!」

あと二時間、わずかな休憩すら挟まずに射精を迎えながら走らされる。媚薬を飲まされ、強烈な発情に心と身体を内側から淫猥に苛まれる。
どちらも嫌だが、ついさっきまで味わわされていた分走らされることへの恐怖は未知の苦痛への恐怖より遥かに強い。故に二人はそれが男達の思い通りと知ってはいても、その行動を取らざるを得なかった。

「ふふっ、良い子だね。しっかり味わって飲むんだよ」
「んぐっ、んっ、んぷぅっ」
「おかわりは幾らでもあるからね。ちょっとずつ器に継ぎ足しながら、少しずつ媚薬の割合を増やしながら、お腹いっぱいになっても飲ませてあげるからね?」
「うぶっ、んぅ、んふぅぅ」

走り続けさせられる苦悶から解放され、望まぬ発情を要求される別の苦悶へと追いやられた男達は、無慈悲な男達に高まっていく裸体をあらゆる方向と角度から観察されながら、舌を動かして媚薬入りの水を自身の口の中へと運び続けていた。






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