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豪華客船で淫らな船旅を

2016.02.19.Fri.21:00
夜の海を行く豪華客船のあちこちで、客の楽しげな声が聞こえている。上等な衣服に身を包んだ老夫婦は昔話をして微笑み合いながら、レストランで食事をしている。二人の子供がゲーム筐体が並べられた空間ではしゃぐ様子を眺める若い夫婦は思わず笑みを浮かべ、普段の激務のせいで満足に味わえない家族の時間をじっくりと噛み締めている。権力者である親に連れられてこの客船に訪れた少年達は遊技場に用意されたビリヤードやチェスで遊び、年相応に表情をころころと変えている。
日常から切り離された客船の中で、乗客達はそれぞれ思い思いの方法で過ごし、心から楽しんでいる。このクルーズが終われば忙しい日常に戻らなければならない、という憂鬱も抱かず。いつもならもう眠っている時間だ、という事も忘れ。自分達が楽しんでいる空間の上に位置する関係者以外立ち入り禁止の場所で、自由を奪われた男が苦悶に苛まれているだなんて想像すらもしないまま、楽しい時間を送っていた。

「んんっ…ふ、むぐぅ…んっ!」

客室の絢爛さとは大きくかけ離れた部屋。ベッドも絨毯も無く、壁は白色がむき出しになっている上にそもそも物置程度の広さしかない部屋の中央で、男は赤く火照った顔を力無く左右に揺らしながら身をよじり、裸体に施された麻縄を解こうともがいている。
白布に作られたこぶ状の結び目を噛まされ、顔の下半分を覆う白布の猿轡を与えられた口で呻き、男は一人きりの部屋でじたばたと一生懸命に暴れている。だが、男がどんなに一生懸命になって暴れても裸体に施された縄は解けるどころか緩む気配すら見せない。男が布で塞がれた口から言葉にならない声を上げ、全身に力を入れて縄を軋ませても縄は本当に軋むだけでビクともしない。
縄で胸部に押し付けられた二の腕は、縄が強く食い込む痛みを感じるだけで手ごたえは一切感じられない。背中で捻り上げられた手首は二の腕と手首を結合する短い縄のせいで下ろす事も上げる事も出来ず、言葉を封じている猿轡を外す事も、上半身と天井の滑車を繋いでいる縄を解く事も出来ない。加えて、男の足はきっちりと揃えたまま左右の足首と膝、そして太ももの部分をきつく縄で括られており、男は天井から吊るされたつま先立ちの裸体を移動させる事も、自分の意志とは裏腹に勃起してしまっている男根を足で隠す事も出来ない。

思い通りに言葉を発せず、手を使って縄を解けず、爪先立ちの状態を強いられたまま、男は縄に縛られた裸体とふくらんだ男根を一人きりの部屋で晒している。
そんな状況が長い時間続き、男の心と身体を恥辱と屈辱で痛め付けた。男はもう反抗心を失い、縄拘束と無慈悲な苦悶からの解放を望んでいる。すっかり弱り切り、屈服の感情を持たされた男。その男が入れられた部屋の扉が突然数時間ぶりに開き、扉を開けて入って来たスーツの男は、豪華客船の持ち主である男は、意地悪く口元を歪めた笑顔で尋ねた。

「やぁ、スパイさん。媚薬を嗅がされながらの船旅、楽しんでくれているかい?」
「んー! んっ…んむぅぅぅ…!」

自分を捕らえた男が戻って来たのを確認したスパイは、涙で潤んだ瞳を男に向けて唸り、なりふり構わずに懇願の意志を示す。
ここに来た目的、目の前の男の私室から機密情報を盗み取るという任務など、今のスパイにはどうでも良い。鼻と口を覆う白布の猿轡に染み込まされた媚薬を呼吸の度に嗅がされ、発情させられた肉体を慰めて欲しい。甘い刺激を欲しがってパンパンに張り詰めている男根を弄って欲しい。淫らな欲望に支配され、縄を解く要求より先にヒクつく男根を腰ごと男に向けて突き出して快楽をねだるスパイの様子に男はにっこりと笑い、扉を閉めてポケットに手を入れながらスパイに近付き、問いかけた。

「おや…そんなにおチンチンを突き出してどうしたの? おチンチン、気持ち良くして欲しくて堪らないの?」
「うっ、うぅぅぅっ!」

男の問いの言葉が終わるか終わらないかのタイミングでスパイは顔を縦にガクガクと振り、肯定を示す。
その反応を見れば、スパイがすでに発情で陥落し、快楽を求める以外何も考えられなくなっている事は明らかだ。
しかし、鬼畜な男はそれだけじゃ満足出来ない。確定的に明らかだと理解しておきながら追加で問いかけ、スパイ自身の意思で苛烈な悦楽を切望したという状況を作り出す。

「今、私の手元にはスパイさんのおチンチンをひどく苛める機械しかないよ? スパイさんが射精してもとまらずに動いて、もう嫌だって思ったスパイさんがおチンチンを振り乱して外そうとしても、しっかりと食い込んだまま嫌がるスパイさんのおチンチンを何度も何度も射精させる…そんな機械しかないよ? それでもいいの?」
「んむぅぅぅ! ぐっ、うぐぅぅぅ!」

何でもいい。この気が狂いそうな発情が紛れるならば、それでいい。ほんのりと赤く染まり汗に濡れた裸体を小刻みに痙攣させ、不明瞭でもはっきり分かるおねだりを縄音と一緒に発しながら、スパイは疼く男根への責めを望んだ。
すると、男は口角を一層吊り上げつつポケットに入れていた手を出し、淡い桃色をした楕円形のローターが幾つも取り付けられた細い黒革のベルトを二本取り出して、何の躊躇も無くスパイの男根の根元とカリ首の下に少しきつめに巻き付けていく。

「ほら、すごいでしょう? このベルトに付いた玩具がいっぺんに振動して、スパイさんのおチンチンをたっぷり苛めるんだ。スパイさんがどれだけ射精しても、射精する精液さえ無くなっても、スパイさんが泣いて呻いてやめて欲しいって思っても、これは私がリモコンを操作するか電池が切れるまで動き続けて、スパイさんを気持ち良くし続けるんだよ…大変だ」
「む、うぅ…」

聞かされた内容は、間違い無く性の拷問のそれだ。けれど、一人きりで発情させられ、快楽の事を考えさせられたスパイは男の口が発した恐れるべき内容に興奮と期待を覚え、スパイの男根は巻き付けられたベルトがぎちりと鳴る程にその体積を増していた。

「さぁ、スイッチを入れるよ。思う存分、好きなだけ気持ち良くなってね」

男の右手が、握ったリモコンを親指で操作する。途端、スパイの男根からはローターの駆動音が何重にも重なって聞こえ始め、スパイの口からは布でくぐもった甘い悲鳴が聞こえ始めた。

「んっ! んー! ふ、ふぅっ、むぐぅぅぅんっ!!」
「それじゃ、スパイさん。また後でね」

ポケットに淫具のリモコンをしまった右手をひらひらと振りつつ、男は喘ぎ鳴くスパイを放置して部屋を去ろうとするが、そんな男を目にしてもスパイは男を引き留める制止の声を上げようともせず、やっと与えられた快楽の悦びを、渇望に追い詰められていた肉体に染み渡る甘い波を嬉しがり、知らず知らずの内に至福の色を含んだ喘ぎを部屋に響かせている。

当初の予定ではとっくに去っていた客船に捕らわれたスパイの船旅は。昼も夜も無く与えられる刺激の波に心と身体を甘く嬲り倒され、激し過ぎる快楽の渦に抗う事も叶わずに溺れさせられていく淫らで逃げ場の無い哀れなスパイの船旅は、まだまだ、始まったばかりだった。




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