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快楽を堪えながら青年は脱出を求める

2015.06.21.Sun.21:00
白い壁と床に囲まれた殺風景な部屋に、金属同士をぶつけ合う甲高い音が響いている。それは、床に正座をした一人の青年が手枷を施された手で金属で作られた犬用の器を掴み、足枷と床を繋ぐ鎖へと振り下ろしている音で。青年は開口具で閉じられなくされた口から荒い息と唾液を零し、股間に装着された貞操帯に内蔵されているペニスを振動させるパッドと、アナルをみちみちに埋め尽くしたまま柔らかな腸壁を掻き回しているアナルバイブの刺激による快楽を堪えながら脱出を求め、必死に鎖を壊そうと自身への餌が入れられていた器を振り下ろしていた。

「あぁっ! は、あ…あぉぉっ!」

開かされた口から甘く濡れた声を上げ、青年は拘束具と貞操帯以外何も身に着けていない身体中に汗を流して何度も何度も震える腕を振り下ろす。ペニスとアナルを嬲る貞操帯内の淫具の責めと疲労で憔悴した青年は、もはや自分の行為が成果を上げているのかも分からない。
けれど、足枷の鎖を壊せるような道具が他に無い以上、手枷と足枷の枷はもちろん、口枷と貞操帯の鍵も持ち去られて近くに無い以上、青年が自力で脱出する方法は他には無い。だから、青年は自身の肉体がどれだけ汗に塗れようが、恥部が絶頂の証である白の体液に汚れようが気にせず、ただこれが脱出に繋がると信じてひたすらに器で鎖を叩いていた。
どれ程の時間、決して広いとは言えない部屋の中に青年の荒い呼吸と、淫具の駆動音と、金属の立てる甲高い音が響いたのだろう。少なくとも青年には永遠とも思えるくらいに長く続いた苦悶の時間の後、突然状況に変化が起きた。振り下ろした器と、振り下ろされた器を当てられた鎖の立てる音が今までと違う物となり、青年が目を見開いて器を持ち上げると、そこには一部が破損し、青年の足枷と床の金具を結べなくなった鎖があった。

「あ、おぉっ…!」

表情を安堵で緩ませた青年は喜びの唸りを発して手にしていた器を床に投げ捨て、休憩を欲しがる身体に力を入れて震える足で立ち上がり、部屋から逃げ出す為に壊れた鎖を引きずって扉へと歩いていく。
左右の足首を短く繋がれているせいで、大きくは歩けない。加えて過敏な性感帯であるペニスとアナルを責める快楽のせいで真っ直ぐ歩く事も出来ず、青年の足がふらふらと揺れる度に太股には白い体液と分泌した腸液が滴る。
しかし、そんな事など今の青年には気にならない。どんなに足が震えようが、淫猥な液体が足を濡らそうがそれらは脱出の嬉しさの前では些細な事で、余裕が生まれた青年は扉の鍵を掛けずに去って行った者達の愚かさを心の中で笑いながら扉を開け。

想像もしなかった、割れんばかりの拍手で迎えられた。

「お見事です! さすが正義のヒーロー、わずかに時間がかかりながらも見事に部屋からの脱出を成し遂げました!」

先程まで青年ヒーローがいた部屋が映し出されている巨大なモニターを背にした男がマイクに向かって叫び、また拍手が起こる。
その拍手の主は客席を隙間無く満たす観客の男達で、ようやく部屋から出られたと思っていた青年ヒーローは無慈悲な男達の思惑通り、必死に脱出を試みる様がモニターで鑑賞されていたホールのステージの上に、拘束具と貞操帯を身に付け身体中を汗と淫液で汚した姿で立たされていた。

「あ、あ…っ!」

無様な自分を眺めて拍手する男達の光景に恐怖と絶望を覚え、青年ヒーローは表情を強張らせて思わず部屋に戻ろうとする。しかし、それは許されなかった。何故ならステージから離れようとした青年は離れるよりも先に手枷に鎖を繋がれ、その繋がれた鎖を引っ張られてステージの中央へと連れて行かれてしまったからだ。

「さて皆様、ここからは別の趣向となります! 今度はモニターごしでなく、実際に悶え、快感に喘ぎ鳴くヒーローの無残な痴態を存分にお愉しみ下さい!」
「あーぁっ! あぉぉぉっ!!」

疲弊した身体では鎖を引く力に勝てず、青年ヒーローはなす術無く強いライトが降り注ぐステージの中央へとガクガクと痙攣している自らの足で移動させられる。
ぼたぼたと体液をステージに垂らしながら更なる責めの舞台へと移動させられる青年ヒーローを救う存在は一人もおらず、哀れな青年ヒーローは敵しかいない空間でその身を手加減を一切挟まない激し過ぎる快楽でいたぶられ、イきまくる様も、理性を崩されて狂いゆく様も全て、余すところ無く嘲笑と欲情に歪んだ何百もの目で観察されるのだった。




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ZARIA オムニバス -緊縛-
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